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We Are the Worldのホロスコープ
“We Are the World”という1985年に行われた、アメリカ人ミュージシャンによるチャリティイベントがあります。
Quincy Jonesが指揮を取り、集められたメンバーはStevie Wonder、Michael Jackson、Lionel Richie、Bob Dylan、Ray Charlesなどの超大御所ミュージシャン達(USA for Africa)でした。
“We Are the World”はアフリカの飢餓を救うためUSA for Africaが行ったチャリティイベントですが、これはイギリスで1984年に行われた別のチャリティイベント”Do They Know It’s Christmas? (Band Aid)”を模倣したものと言われています。
“We Are the World”のレコーディングが開始された時刻でホロスコープを作成したところ、いろいろなことがホロスコープに表れています。
模倣する人の一般的な特徴として、「自分も注目されたい」「相手を出し抜きたい」更には「足を引っ張りたい」というような邪な動機付けが主に挙げられますが、
USA for Africaのホロスコープからは、ただの模倣ではない、意識の高さや慈悲深い感情、楽曲のクオリティの高さなどが読み取れます。
ですが、確かにBand Aidへの嫉妬の感情もあるようです。
Band Aidのメンバーは、Boy George、George Michael、Bono(U2)、Simon Le Bon(Duran Duran)など、80年代のUKヒットチャートでは常連のスター達です。(女子が喜びそうなメンバーですね笑)
嫉妬の感情が向けられる先は、メンバーの外見的な美しさや人気度、話題性などかもしれません。
USA for Africaは何のための集団か?という部分については、純粋にアフリカの飢餓を救済するためであり、困っている人を助けたいという慈悲の気持ちが動機として読み取れます。
エゴの抑制
こんなエピソードがあります。
アーティストたちが集まった部屋には、”Check Your Egos At The Door”(ドアの前で自分のエゴをチェックするように)という文言が挙げられていたことが有名とあります。
クインシー・ジョーンズが語るUSAフォー・アフリカの「We Are The World」(日本語)
‘Check Your Egos At The Door’: Quincy Jones And ‘We Are The World’(英語)
これだけ実力もあり、カリスマ性豊かなメンバーが集められているものの、与えられた歌のパートはほんのワンフレーズのみ。Liveではマイクを順番に渡して歌うシーンが印象的でした。
もっと自分を前に打ち出したい、もっと表現したいという人もいたかと思いますが、ホロスコープからは、それらの自我が程よく統制されている印象です。
自己表現は各自で(ソロ活動)で十分できるでしょう?とホロスコープが伝えているようにも感じます。
S. WonderやM. Jackson、Ray Charles、Bob Dylanについては、歌うフレーズは他のミュージシャンよりも長く与えられたようですが、それは彼らのファンに対するサービスと言えるのかもしれません。
Band Aidとの違い
Band Aidのホロスコープも作成しましたが、全く違う印象があります。
こちらは、かなりバランスが偏ったホロスコープという印象です。
同じアフリカ飢餓を救うチャリティイベントであり、こちらがオリジナルなのですが、あまり純粋な目的意識は感じられません。
飢餓を救うためというよりは、もっと別の目的も感じられます。
それは注目や賞賛を集めるためのものであったり、利益(ビジネス、金銭的な目的)も含まれているようです。
純粋にアフリカの飢餓を救いたい、という目的ではなく、これだけのメンバーを揃えれば儲けられるんじゃないか、というような邪さ、そして弱者に対する差別意識などもあるかもしれません。
弱者を題材にした商業、ビジネスという見方もできます。
少なくとも自分自身に焦点があり、アフリカの貧しい人々ではないことは明らかです。
それぞれの歌で歌われていること
今更ですが、それぞれの歌詞でどんなことを歌っているのかも見てみました。
“Do they know…” の方は、要約すると、「クリスマスという幸せな時間を味わう人もいれば、(アフリカで)飢餓に苦しむ人もいる。」というフレーズで始まります。
更にドン引きなのは、このフレーズではないでしょうか。
“Well tonight thank God it’s them instead of you”
イギリスではこういう表現をする人もいるかもしれないですが、この部分の解釈にはいろいろな議論がなされているようです。
そして、サビの部分で”Feed the World”と繰り返しています。
対して”We Are the World”の方はどうでしょうか。
“When the world must come together as one”
“We are the ones who make a brighter day, so let’s start giving”
サビの部分はご存知の通り。”We are the world”と繰り返しています。
自分と他者を分けるのではなく、一つ(one)だと歌っているところ、特に”feed”ではなく”giving”と歌っているところなども、明らかな違いがあります。
“feed”は動物に対して使われることが多く、「餌をやる」という意味です。
同じ立場、同じ目線に立ち、分かち合おうとしているのであれば、決して使わないのではないでしょうか。
Q. Jonesのホロスコープ
USA for Africaが指揮を務めたQ. Jonesは、元々はソロで活動していた方ですが、それ以降はプロデューサーとしてアルバムをリリースしています。
とてもバランス感覚の優れた方のようです。そしてクリエイティブであり、チームワークでプロジェクトを進めることに長けていると読み取れます。
“We Are the World”以降、1989年にはTake 6やSiedah Garrett、Chaka Khanなどを集めたコンピレーションアルバム”Back on the Block”も日本でヒットし、大きな話題を呼びました。
We Are the Worldのレコーディングでは「エゴに気をつけよ」とダメだしをしていたようですが、メンバーそれぞれの適材適所を見抜き、力を発揮できるパートをそれぞれに与えることができていたようです。
ホロスコープ上、Q. Jones自身が注目されたいというエゴは抑制されており、多くの人から慕われるカリスマ的なリーダーとしての資質が読み取れます。
Quincy JonesはBand Aidのマウントがしたかったというよりは、本物のチャリティとは何か、本当の分かち合いとは何かを私達に教えようとしていたのかもしれません。